ES

Diving Death Drive

Nameless

Picnic

BP.

13 rooms
イチマキ (Vo,Gt)、ハジメガネ(Gt)、テッちゃん(Ba)、ヒピコ(Dr)90年代中頃から千鳥足で活動を開始。オルタナ勢にもハードコア勢にもギターポップ勢にも後ろ指をさされつつ、逞しくも健気にいくつかのレーベルからいくつかのコンピに参加したり、ノルマを払ってライブをしたり。そして(今は亡き)ZKレコードより7インチ・シングルとミニ・アルバムをリリースするも、21世紀を待たずに冬眠。目が覚めてみると2011年!寝ぼけ眼をこすりつつ手にしたジャガーの弦はすでに錆だらけ。そんな正真正銘オリジナル・メンバー"ふくれっ面のプリンセス"ことイチマキ(ex. Coaltar Of The Deepers)と、当時は営業部長だった豆知識がさえるメガネ君、ハジメ ガネ(Space Kung-Fu Man/On Button Down)の二人に、地獄からハンダゴテを片手にホットロッドでやってきたテッちゃん(ex. Soak)と、栃木から軽ワンボックスに乗ってハンジロウに買い物にやってきたヒピコ(新人)を加えた4人が、お小遣いを貯めて楽器屋さんで買った楽器を使い、スタジオでどんだけ練習をしても、うろ覚え感の否めない楽曲を、おっかなビックリで演奏するバンド。後にCOALTAR OF THE DEEPERSに参加するイチマキ率いるBP.1995年、唯一のアルバムである『GOLDEN BP』を発表。ポップで甘いメロディを前面に押し出したシューゲイザー要素とハードコア要素を融合させたバンドである。COTDと比較される事が多かったらしいが、彼女達はもっとポップさを前面に押し出しストレートな音を鳴らしていたと言えるだろう。何にしても今作が90年代に発表されたというのが驚きであるし、シューゲイザーとギターポップとハードコアを絶妙なバランスで配合した音は今でも新鮮だ。冒頭から轟音のリフが鳴ったと思えば、イチマキの浮遊感に満ちた声とギターポップらしいキャッチーなフレーズが鳴り、そして幾度と無く轟音リフとキャッチーなパートが入れ替わりハードさと浮遊感がプリズムの様に光る第1曲「ES」からBP.の音を展開している。ギターポップとハードコアという相反する要素を融合させながらもそれを自然な形でキャッチーでキュートな轟音ポップにしているセンスにはただ驚くばかりだ。第3曲「Diving Death」なんてヘビィなリフと男ボーカルのシャウト渦巻くハードコアさを前面に押し出しながらも、決して重苦しくなく取っ付き易さも残し、そこから透明感溢れるアルペジオへと変貌していく、しかしまたハードコアパートへと変貌する様は、BP.がいかに二面性の持ったバンドであるか証明している。中盤からは一気にシューゲイジングする泣きの旋律と轟音からハードコアとシューゲーザーを一つの線で結んでいく様は胸を掻き毟る激情にも満ちているのだ。第5曲「Count」は今作で最もストレートな哀愁溢れる1曲であり、中盤からのメタリックな刻みのリフが登場する辺りヘビィさも感じるが、イチマキのウィスパーボイスと男声のシャウト渦巻く後半から再びギターポップへと回帰する。どの楽曲も目まぐるしく展開が変わるし、構成も捻くれているのにBP.の音は最終的にはポップさもハードコアさも素直な音へと聴き手には伝わってくる。それは彼女達のボーダーレスなセンスを統率された上で何の先入観も無くポップな旋律も浮遊する音もヘビィなリフも全部飲み込むバンドの懐の大きさがそれを具現化させる力へとなっている気がしてならないのだ。短期間で活動休止してしまったBP.であるが、2011年になって突然の再始動となった。